同じ「レッカー」でも、指しているものは二つに分かれます。
一つ目は、道路の上のレッカー車です。レッカー車とは、事故や故障で自走できなくなった車をけん引したり積載したりして運ぶ特殊車両のことです。自動車保険のロードサービスやJAFを呼んだときに来るのが、こちらに当たります。
二つ目は、建設現場の「レッカー」です。こちらは車を運ぶ車両ではなく、荷物を吊り上げる移動式クレーンの俗称として使われています。現場で「明日レッカー入るから」と言うときのレッカーは、ほぼこちらです。指している機械は、多くの場合ラフター(正式にはラフテレーンクレーン)です。

つまり、片方は「動けない車を運ぶ車」、もう片方は「荷物を吊る機械」。仕事の中身がまったく違うのに、呼び名だけが重なっています。
呼び方は、地域や会社の習慣で分かれています。同じ機械を「クレーン」と呼ぶ現場もあれば、「ラフター」と呼ぶ現場も、「レッカー」と呼ぶ現場もあります。とくに関西では「レッカー」と呼ぶ方が多いと言われ、関東の会社と関西の会社が同じ現場に入ると、同じ機械の話をしているのに呼び名が二つ飛び交う、ということが普通に起きます。
なぜそう呼ぶようになったのかには諸説あり、はっきりした語源は分かっていません。確かなのは、俗称として広く定着していて、現場では通じるということです。宅配便やホチキスのように商品名が一般名詞になったユニックの例もありますし、機械の正式名称と現場の呼び名がずれているのは、この業界では珍しいことではありません。正式名称の由来に興味のある方は「クレーンの名前の由来」のコラムもどうぞ。
なお、見積書や作業依頼書など社外に出る書類に書くときは、「25tラフター」のように機種とトン数で書いておくと、呼び名の習慣が違う相手にも確実に通じます。
探し物がどちらなのかで、連絡する先が変わります。
| やりたいこと | それはどちらの「レッカー」か | 相談する先 |
|---|---|---|
| 事故・故障で動けない車を移動したい | 車を運ぶレッカー車 | 自動車保険のロードサービス・JAF |
| 資材や機械を吊り上げたい(建て方・据付・荷揚げなど) | 移動式クレーンの俗称 | クレーンの手配会社(当社はこちらです) |
事故や故障で動けない車を路上から運ぶのは、ロードサービスの領域です。多くの自動車保険にはレッカーサービスが付いていますので、まずは加入している保険会社への連絡が早道です。
一方、現場で荷物を吊り上げる作業なら、それは移動式クレーンの仕事です。当社が手配しているのはこちらで、オペレーター付きのクレーンを現場にお届けしています。
初めての現場で先輩から「レッカー手配しといて」と言われて、事故車のレッカー会社を検索してしまった——という行き違いは、笑い話のようで実際に起こりえます。建設現場でその指示が出たなら、まず移動式クレーンのことだと考えて差し支えありません。
迷ったら、「何を吊る現場ですか」と聞き返してください。吊る物が出てくれば移動式クレーンの話ですし、そこから先の段取りは「クレーンの「レンタル」と「手配」の違い」のコラムにまとめたとおり、何を・どこで・いつ吊るかが分かれば進みます。
一つ実務的な注意があります。「レッカー 手配」で検索すると、出てくるのは自動車保険のロードサービスや事故対応の案内がほとんどです。世の中の検索では「レッカー」は事故車の意味で使われる方が優勢なので、吊り作業の会社を探したいのに事故対応のページばかり並ぶ、ということになります。
現場の吊り作業を頼みたいときは、「クレーン 手配」や「ラフター 手配」で探し直すのが早道です。呼び慣れた言葉と、検索で通じる言葉が違う——これも俗称ならではの落とし穴です。
呼び名は地域や会社ごとに違っても、機械と仕事の中身は同じです。「レッカー」と言われて迷ったら、吊る物があるかどうかで切り分けてください。吊る物があるなら、それは当社の領域です。何トンが必要か分からないままのご相談で、まったく問題ありません。
現場の近くのクレーンを手配するので、回送が短く、早く・ムダなく対応できます。
何トンを手配すればよいかから、ご助言できる担当が対応します。しつこい営業はいたしません。