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Column / お役立ちコラム

定格総荷重表の見方——「25t吊り」でも25t吊れるとは限らない理由

結論「25t吊りのクレーンなら、25tまで吊れる」——実はこれ、正しくありません。25tというのは一番条件の良いところ(ブーム最短・作業半径最小)での最大値で、実際に吊れる重量は、作業半径が伸びるほど下がります。それを一覧にしたものが定格総荷重表(性能表)です。ここでは表の読み方と、実務でつまずきやすい「定格総荷重」と「定格荷重」の違いを整理します。
はじめに(日ごろクレーンをお使いの方へ)この記事の内容は、日ごろクレーンを使われている方にとっては当たり前のことばかりです。釈迦に説法で恐れ入ります。初めてクレーンを手配される方や、現場に入って間もない方への説明用としてまとめました。よろしければ、社内の共有資料としてお使いください。ご存知の方は読み飛ばしていただき、ご用の際はそのままご相談ください。

「◯t吊り」は、クレーンの呼び名です

「25t吊り」「50t吊り」といった呼び方は、吊り上げ荷重という値から来ています。これは、ブームを一番短くして、一番近いところで吊ったときの最大値です。クレーンの大きさを表す呼び名だと思ってください。

現場で実際に吊れる重量は、この値ではありません。吊る位置がクレーンから離れるほど、また高く伸ばすほど、吊れる重量は下がります。これは、腕を伸ばして重い物を持つのが辛いのと同じ理屈です。

定格総荷重表は「作業半径 × ブーム長さ」の早見表です

表の軸意味
縦(または横)=作業半径クレーンの旋回中心から、吊り位置までの水平距離
もう一方=ブーム長さブームをどれだけ伸ばした状態か
交点の数値その条件で吊れる最大の重量(定格総荷重)

つまり、「どれだけ離れたところに、どれだけ伸ばして届かせるか」を決めて、その交点を見るという使い方です。同じ機体でも、作業半径が伸びれば数値は大きく下がります。表を初めて見ると、その下がり方に驚く方が多いです。

50tクラスのラフター(ラフテレーンクレーン)の全景
同じ機体でも、作業半径が伸びるほど吊れる重量は下がる

つまずきやすいのは「定格総荷重」と「定格荷重」の違い

ここが実務で一番大事なところです。表に載っている定格総荷重には、フックや玉掛け用具の重さが含まれています。一方、実際に吊りたい荷物の重さは定格荷重と呼ばれ、「定格荷重 = 定格総荷重 −(フック・ワイヤー・シャックルなど吊り具の重量)」という関係になります。

ここが行き違いの原因になります表の交点が5tだったとしても、5tの荷物が吊れるわけではありません。フックと玉掛け用具の分を差し引いた残りが、実際に吊れる重量です。「表を見て大丈夫だと思ったのに、当日になって吊れないと言われた」——この行き違いは、たいていここから起きます。荷物の重さで表を見るのではなく、荷物+吊り具の重さで見る、と覚えておくと間違いません。

表の中の太線は、限界の種類が変わる境目です

性能表をよく見ると、途中に太い線が引かれていることがあります。これは、その数値が何によって決まっているかの境目です。太線の一方の側は、クレーン自体の強度で決まる範囲。もう一方の側は、転倒しないかどうか(安定度)で決まる範囲です。

つまり太線の外側は、無理をすると機体が壊れるのではなく、転倒に近づく領域ということになります。どちらも守るべき値であることに変わりはありませんが、性格が違うということは知っておいて損がありません。

アウトリガーの張り出し方でも変わります

性能表は、アウトリガー(張り出し脚)を最大まで張り出した状態を前提にしている場合と、途中までの状態を別表にしている場合があります。現場が狭くて最大まで張り出せないときは、当然、吊れる重量は下がります。「表では足りるはずだったのに、現場では張り出せなかった」となると、機種の選び直しになります。設置スペースの考え方は、別記事「クレーンの設置スペースはどれくらい必要?」もご覧ください。

表が読めなくても、手配はできます

ここまで書いておいて何ですが、依頼される側がこの表を読めなくても、まったく問題ありません。必要なトン数の選定は、こちらで行います。「何を・どこへ・どれくらいの距離で吊るか」をお聞かせいただければ、条件に合う機種をご提案します。表の見方を知っておくと役に立つのは、社内で先に検討したいときや、若手に説明するときです。そういう場面のための記事だと思っていただければ。

よくある質問

Q. 吊る物の重さが正確に分かりません。どうすればいいですか?A. 銘板や仕様書の写真があれば、そこから読み取れることが多いです。分からない場合も、品名・寸法・台数をお聞かせいただければ、こちらで見当をつけます。重さが不確かなときほど、余裕を見た機種選定をご提案します。
Q. 荷物の重さがぎりぎり表の数値に収まる場合、そのまま頼めますか?A. 実務では、余裕をみて一段大きい機種を選ぶのが一般的です。吊り具の重量や、当日の設置位置のずれを考えると、ぎりぎりの計画は危険側に振れやすいためです。ご相談の際に、余裕を含めた提案をいたします。
Q. 性能表そのものを見せてもらえますか?A. 手配する機種が決まった段階で、その機種の条件をご説明します。ご検討の材料として必要でしたら、お申し付けください。

迷ったら、条件だけお聞かせください

定格総荷重表は、慣れないうちは読みにくいものです。トン数や機種が決まっていなくても大丈夫ですので、「何を・どこへ吊るか」だけお聞かせください。電話(平日9:30〜18:00)・LINE・フォームからご相談いただけます。現場や吊り荷の写真がありましたら、あわせてお送りください。

このコラムを書いている会社について
このクレーン手配ナビは、建設グループARCFEELGROUPが運営しています。私たちは自社でもAIツールを8本作って業務を回しており、その経験を建設会社向けに月2回・30分のオンライン説明会でお話ししています。 建設会社のAI導入 30分説明会

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