木造2階建ての部材は、一つひとつはそれほど重くありません。梁や桁で数十キロから百数十キロ、束ねた材でも数百キロの世界です。ですので、吊る重さだけで見れば小さなクレーンで足ります。
決め手になるのは、重さより距離なんです。クレーンを据える場所から、いちばん遠い柱や棟木の位置まで、どれだけ腕を伸ばすか。腕を伸ばすほど吊れる重さは急に減るので、家の奥行きが深い、あるいは道路から離れた場所に据えるしかない、という現場では一回り大きな機械が要る——ここが分かれ目です。
もう一つ、部材を置くトラックとクレーンの位置関係も効きます。トラックを敷地の前に横付けできて、そこから直接吊り上げて組めるなら、腕は短くて済みます。トラックが離れた場所にしか停められず、いったん敷地内に仮置きしてから組むなら、二段階の作業になり、時間も腕の長さも変わります。
| 目安 | 向いている状況 |
|---|---|
| 13t | 前面道路が狭い・敷地が小さい・据える場所のすぐ前に部材を置ける |
| 16t | 住宅街の一般的な2階建て。狭所対応と腕の長さのバランスが取れる |
| 25t | 奥行きの深い敷地・道路から離れて据える・3階建てや小屋組が大きい |
あくまで目安で、現場の寸法(敷地の間口と奥行き、据え付け位置から最遠点までの距離、部材のいちばん重いもの)を伺えば、こちらで機種を決めます。トン数の考え方そのものは「何トンのクレーンが必要?」のコラムに、鉄骨の建方との違いは「鉄骨建方のクレーン」のコラムに書きました。
上棟の日は、だいたい次の順で進みます。
この流れで、2階建て35坪前後なら1日で棟まで上がるのが普通でしょう。クレーンの料金の「1日」は8時間保証という単位で数えることが多く、朝の据え付けから夕方の格納まで拘束時間で見ます。数え方は「クレーン料金の「1日」は何時間?」のコラムをご覧ください。
木造住宅の現場はほとんどが住宅街です。当日に「入れない」「据えられない」となると、大工さんも部材のトラックも全部が止まります。次の三つは、手配の前に見ておいてください。
住宅街の確認項目は「住宅街・狭い場所でのクレーン作業」のコラムに五つにまとめてあります。近隣への一声は「近隣へのご案内」のコラムを参考にしてください。上棟は朝からクレーンの音がしますので、前日までに一言あるのとないのとで、当日の空気が違います。
検索すると「上棟 クレーンなし」という言葉も出てきます。手起こしで棟を上げる工法が無いわけではありませんが、いまのプレカット材の建て方では、クレーン無しで1日で上げるのは現実的ではありません。人数と時間がかかるうえに、重い材を人力で高い位置に上げる作業は、いちばん事故が起きやすい場面でもあります。
クレーンが入れない敷地の場合は、「クレーン無しで」ではなく、「小さいクレーンをどこに据えるか」「部材を小分けにして搬入できるか」を先に考えます。13tクラスや、状況によってはユニック(トラック搭載型)で対応できることもあります。ユニックとラフターの向き不向きは「ユニックとラフターの違い」のコラムに書きました。
上棟の日に雨が降ると、材が濡れるだけでなく、足元が滑って危険です。強風も同じで、吊った材が振られます。前日の時点で順延を決めるのが基本で、前日までの順延なら、クレーンの費用がかからない形が一般的です。当日に現場へ着いてからの中止は扱いが分かれますので、「前日キャンセルと当日中止のときはどうなりますか」を見積もりの段階で確かめておいてください。判断の目安は「雨や風の日、クレーンはどうする?」のコラムにまとめました。
上棟は施主さんの予定も絡む日。予備日を最初から一つ押さえておくと、順延のときに慌てずに済みます。
上棟のクレーンの見積もりは、次の項目が分かれば組み立てられます。
図面や配置図があれば、距離はこちらで読めます。伝え方の型は「クレーンの見積もりの頼み方」のコラムにもまとめてあります。
木造の建て方は、鉄骨と違って部材が軽いぶん、機械の大きさより「据える場所」と「置き場」で段取りが決まります。配置図と道路の写真をお送りいただければ、何トンをどこに据えるかまで含めてご提案します。日程が未定の段階でも構いません。
現場の近くのクレーンを手配するので、回送が短く、早く・ムダなく対応できます。
何トンを手配すればよいかから、ご助言できる担当が対応します。しつこい営業はいたしません。